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ロナン・ブルレックが語るHAYの魅力(前編) HAYのある暮らし #11

HAYとコラボレーションしている数多くのデザイナーの中で、最も目覚ましく活躍するひとりがロナン・ブルレック。世界各国の一流ブランドから家具やプロダクトを発表しているほか、ユニークなドローイングを描くアーティストとしても注目を集め、最近はその作品がHOMMÉ PLISSE ISSEY MIYAKEのコレクションに採用されました。彼のデザインの魅力は、無駄のないフォルムに、何とも言いようのない洗練や優しさをそなえさせるところ。もともと弟のエルワン・ブルレックと一緒に活動してきた彼は、昨年からユニットを解消して個人活動に専念しています。そんなロナンと、HAYとのコラボレーションについての特別なインタビューが実現しました。

HAY
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ロナンが手がけたHAYの製品で特に有名なのが、アウトドア家具のコレクション「PALISSADE」です。ストライプ状のパーツが目を引くこのデザインは、どんなふうに発想されたのでしょうか?
「庭で使う家具としてふさわしいものにするため、雨、雪、風、砂、太陽光線などに耐える強さと丈夫さをそなえる必要がありました。また20年、30年経ってもフリーマーケットで扱われるような、寿命が長く古びない形を考えて、あのデザインが生まれたのです。塗装が剥げたら自分で塗り直して使っていくのもいいと思います」とロナン。スチールのフラットバーを折り曲げることが、そんな使い道のためには最適でした。この構造なら十分な強度があり、椅子の座面の水捌けもよくなります。

「PALISSADEについてもうひとつ大切なのは、アウトドアの景観と調和するということでした。周囲に木や緑があり、風が吹き、自然の光があるような場所に合う、美しいランドスケープをつくり出すデザインでなければいけません。こうした環境では、太陽の光がPALISSADEの特徴であるストライプのパターンの影を地面につくります。そんな様子をとても気に入っています」
周囲との調和を重視するスタンスは、ロナンのデザインの多くに共通するものでもあります。彼の作風は、目にした印象として何かを強く主張したりはしません。しかし単にシンプルで飾らないだけでなく、独自のセンスが自然に生かされているのです。

HAY
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PALISSADEのシリーズは、2015年に最初のコレクションが発表されてからバリエーションを徐々に拡大してきました。現在はアームレスのチェア、アームチェア、ベンチ、スツール、寝椅子、サイズや形もさまざまなテーブルなどが揃っています。こうしたバリエーションのあり方を、ロナンはこう説明します。
「私はPALISSADEに限らず、あるアイテムをもとにファミリーをデザインしていくのが好きなんです。一貫性を保ちながらいくつもの機能を考えるのは、複雑な作業ですがやりがいを感じます。PALISSADEの場合、ストライプというグラフィカルな要素を応用し、発展させていきました。その中でいちばん難しかったのはアームチェアをつくること。椅子にはどうしてもアイコニックであることが求められるからです。もちろん結果として完成したものにはとても満足しています」

それでは、ロナンがPALISSADEに続いてデザインした屋外用の椅子「BALCONY」は、どんな発想から生まれたのでしょうか。
「PALISSADEに予想以上の反響があったので、HAYのロルフ・ヘイから新しいアウトドア家具をつくろうと提案されました。そこで思い描いたのは、もっとコンパクトで、軽く、少ない材料で製造できる家具。まさにバルコニーのような場所にぴったりのものを目指しました。BALCONYの椅子の座面や背もたれ、テーブルの天板にはシートメタルを使い、フレームもPALISSADEよりミニマルにしています」
こうした素材や構造の選択により、BALCONYはとても使い勝手のいいコレクションになりました。座り心地も向上し、いっそう幅広いシーンで使うことができます。

HAY
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「PALISSADEではストライプをグラフィカルに用いましたが、BALCONYは丸い穴を空けることにしました。これがBALCONYというコレクションのサインの役目を果たします。バリエーションを増やす時も、この穴によって同じファミリーだと一目でわかるのです」
BALCONYの特徴的な穴は、やはり水捌けをよくするメリットがあるのに加え、シートメタルの強度を増す働きもします。さらにロナンが意図した通り、機能を超えてデザインに愛らしさをプラスすることになりました。PALISSADEで培われた経験が、BALCONYに巧みに生かされたのです。

「BALCONYの椅子をはじめ、HAYの家具には私が自宅で実際に使っているものが多くあります。必要な時にすぐ手に入り、使いやすく、組み立てやすく、日常の空間に馴染みやすいからです。私はハイエンドな製品のデザインもしていて、それらはもちろんすばらしいのですが、多くの人の日々の暮らしにふさわしいとは限りません。HAYの製品は日常のためのソリューションに最適なのです」
ロナンが太陽の下で読書するときは、BALCONYの椅子に腰かけるのだそうです。
「この椅子は服にたとえると白いTシャツ。何にでも合うし、気を使う必要がなく、信頼できる。これからも、こんなデザインをしていきたいと思います」

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土田貴宏 ライター/デザインジャーナリスト。
2001年からフリーランスで活動。プロダクトやインテリアはじめさまざまな領域のデザインをテーマとし、
国内外での取材やリサーチを通して雑誌やウェブサイトで原稿を執筆。東京藝術大学などで非常勤講師を務める。
近著「デザインの現在 コンテンポラリーデザイン・インタビューズ」(PRINT & BUILD)。