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コペンハーゲン「3 days of design」のHAY HOUSE HAYのある暮らし #6

デンマーク・コペンハーゲンの市街地の一角に、HAYのフラッグシップストア「HAY HOUSE」がオープンしたのは10年以上前のこと。やがて北欧を代表するブランドになったHAYにとって、このストアは最も大切な場所であり続けてきました。2021年にスペースをいっそう拡大したHAY HOUSEは、今年も6月恒例のデザインイベント「3 days of design(3デイズオブデザイン)」に合わせて数々の新作を発表しています。そんな店内の最新の様子をリポートします。

  • HAY HOUSE 01
  • Sobremesaシリーズ 01
  • Sobremesaシリーズ 02

1年で最も日が長く、夜になっても空の明るい6月は、北欧に住む誰もが楽しみにしている時期。3 days of designは、この時期に3日間にわたってコペンハーゲン各所で開催されるデザインイベントです。市内中心部のØstergade通り沿いにあるHAY HOUSEでも、イベントに合わせて新作が展示されるのが通例になっています。今年、店内で最も注目を集めたのはニューヨーク在住のアーティスト、レイラ・ゴハーによる新コレクション「Sobremesa」。ダイニングシーンを彩るテーブルクロス、テーブルウェア、フラワーベースなどで構成されるSobremesaはすべてがカラフルで、ユニークなモチーフとクラフト的なあたたかさにあふれています。

レイラ・ゴハーはエジプト・カイロ出身で、やがてニューヨークを拠点に多様な食の体験を創造してきました。彼女の場合、料理そのものから、それをつくるプロセス、そしてテーブルセッティングやプレゼンテーションまで、すべてがアートを感じさせるもの。最近は妹のナディア・ゴハーと共に始めたブランド「GOHAR WORLD」を通してプロダクトの発信にも積極的です。またインテリアやファッションのセンスも独特で、そのライフスタイルは以前から無数のメディアに取り上げられてきました。今回、彼女は新作発表に合わせてHAY HOUSEを訪れ、HAYクリエイティブディレクターのメッテ・ヘイとトークセッションを行って互いの相性のよさを印象づけました。

  • レイラ・ゴハー4
  • COLOUR CRATE

HAY HOUSE店内には、他にも目を引くたくさんのアイテムがありました。これは定番の「COLOUR CRATE」の新色バージョンを積み上げて小部屋のように設えたもの。HAY HOUSEのインテリアは基本的にシンプルで、白い壁や天井と、ヘリンボーンのフローリングを基調にしています。そんな空間に、自由な色のコンビネーションが美しく映えています。中央の赤いフラワーベースはミュラー・ヴァン・セヴェレンによる「ARCS VASE」です。

フランスの兄弟デザイナー、ロナン&エルワン・ブルレックのアイテムもますますバリエーションが増えました。収納家具「PIER SYSTEM」は、棚の最上段だけを壁に固定して、数本の柱で自立させる仕組みを採用。壁面の横幅に合わせてサイズを選ぶことができ、棚の位置も変更可能です。リビングルーム、キッチン、オフィスなど、用途に合わせて選べるパーツが豊富に揃っています。全体のきわめてすっきりしたプロポーションは、今までの壁面シェルフになかった大きな特徴です。右下の椅子は、スイスのブルーノ・レイによる1970年代発表のマスターピース「REY CHAIR」です。

  • REY CHAIR
  • COLOUR CABINET

ベルギーのミュラー・ヴァン・セヴェレンによる家具の新作は「COLOUR CABINET」。彼らのテーブル「TWO-COLOUR」にも用いられているカラーMDFを使った、個性的な色彩の組み合わせが楽しい収納家具のシリーズです。壁面に固定するタイプのほか、ガラスのドアつきの数種類がラインアップされていました。モダンアートのような存在感は、今までのふたりの作風と共通しています。ちなみに彼らも今年、レイラ・ゴハーとコラボレーションした家具をミラノで発表したばかりです。

HAY HOUSEのところどころで見られるタイルは、パリ出身のベテランデザイナー、ナタリー・ドゥ・パスキエによるものです。空間のナチュラルなトーンに彩りを与える、楽観的で知的なニュアンスのある色使いは、80年代のポストモダニズムの頃からクリエイションの世界にいる彼女ならでは。イタリアのタイルメーカーが製品化していて、HAY OSAKAでも同様のタイルが使われています。左のフレームの作品もパスキエによるもの、テーブルと右の椅子はベルギーのジュリアン・ルノーによるHAYからのデビュー作「PASTIS」です。

  • PASTIS
  • HAY HOUSE 02

HAY HOUSEは昨年、今までの店舗のあったフロアの上の2フロアにもスペースを拡大。最上階は通常は公開されていないキャンティーン兼ミーティングスペースです。古い建物本来の趣を残しながら、家具はつくり付けのものとHAYのプロダクトで構成し、リラックスできる空間に仕上げています。3 days of designの会期中には、軽食やドリンクがゲストに提供されました。HAY STOREでは、歯ブラシのような小物からソファやベッドなどの大型の家具まで、幅広いラインアップを体感してHAYの世界に浸ることができます。昨年の改装により、HAYのプロダクトがつくる多様なシーンがいっそうリアルに味わえるようになったのです。

3 days of designは、ミラノやロンドンといった大都市のデザインウィークに比べると数分の1の規模しかありません。しかし、その世界的な注目度は年々高まっています。街を訪れた人が無理することなく大半の展示を見て歩くことができ、出展者とコミュニケーションしやすい点で、とても快適にデザインされたイベントです。1日を通して過ごしやすい北欧の夏の気候も、街歩きをしながら好みのデザインに出会うために最適。HAY STOREは、普段からコペンハーゲンの中でも人が集まるスポットですが、この時期のにぎわいには特別なものがあります。来年はぜひ、3daysofdesignの時期にコペンハーゲンを訪ねてはいかがでしょうか。

  • HAY HOUSE 03

土田貴宏 ライター/デザインジャーナリスト。
2001年からフリーランスで活動。プロダクトやインテリアはじめさまざまな領域のデザインをテーマとし、
国内外での取材やリサーチを通して雑誌やウェブサイトで原稿を執筆。東京藝術大学などで非常勤講師を務める。
近著「デザインの現在 コンテンポラリーデザイン・インタビューズ」(PRINT & BUILD)。