1日を楽しくする照明 HAYのある暮らし #2

現在のインテリアシーンの中で、あらためて注目したいのが照明器具のデザインです。照明とは本来、夜に室内を明るく照らすためのもの。しかしリモートワークやステイホームが定着し、昼間も自宅で過ごす時間が増えると、明かりを灯さない照明器具がいつも視界に入ってきます。1日を通して空間をスマートに彩り、心を楽しくしてくれるようなアイテムを、HAYは数多く取り揃えています。
日本のデザイナー、深澤直人がHAYのためにデザインした「PAO」は、その好例でしょう。そのネーミングの通り、彼がモンゴルを旅した時に目にした、遊牧民が住む移動式の家「包(パオ)」をモチーフにしたペンダントライトです。光を包み込むようなフォルムは、食事の度に家族が集うダイニングスペースに最適。家の形だからこそ、自然とそんな雰囲気が生まれるに違いありません。カラーはテイストを選ばないグレーのほか、モダンなソフトブラックとシックなレッドが揃っています。

セルビア出身で、ニューヨークを拠点に写真家やアーティストとしても活躍するアナ・クラシュ。彼女の「BONBON SHADE」もまた、光を灯さなくても魅力的なデザインです。フレームに毛糸を渡して生まれた独特のテクスチャーが、今までのランプにない存在感を放っています。個性的な色合いとパターンは抽象絵画のようで、同時に手仕事のあたたかさを感じさせてくれます。
アナ・クラシュはセルビアでデザインを学んだ大学時代に「BONBON SHADE」を発想し、2011年にミラノサローネで発表しました。その後、いくつものメーカーが製品化を希望しましたが、手づくりならではの魅力を重視する彼女は、このランプを自作することにこだわります。しかしそれから10年近くが経ち、HAYのものづくりのクオリティを認めた彼女は、最も理想的な形で「BONBON SHADE」の製品化を叶えました。ペンダントライトとしても、床や棚などに置いて使うこともでき、現在は6種類のカラーが揃っています。
※日本未入荷のアイテムは本国のサイトへ飛びます。

フランスのピエール・シャルパンは、感覚的な造形力に優れた経験豊富なデザイナー。彼が手がけた照明器具の代表作がHAYの「PC COLLECTION」で、ペンダント型やデスクライトなど幅広い製品がラインアップされています。中でも「PC PORTABLE」は小型の充電式テーブルランプで、屋外でも使用することが可能です。
カップを逆さまにしたようなシェードのフォルムは、シンプルでありながらシャルパンらしいアーティスティックな美しさをそなえています。同じフォルムがいくつか並ぶと、そのシルエットがいっそう印象的。本体がスカイブルーとオーシャングリーンのモデルは半透明のシェードが光を透過させ、ダスティレッドのモデルはシェードの下側を光が照らします。

「MATIN」は、これまでもHAYから多くのカラフルなアイテムをリリースしてきたフランスのインガ・センペによる照明コレクションです。傘の形をしたコットン製のシェードは、どこか工芸品のようでエキゾチックな趣があります。パリにあるリボンの専門店からインスパイアされたという6種類のカラーにも、センペらしいセンスが鮮やかに発揮されました。現代のランプシェードにはあまり用いられないテキスタイルという素材を、独自の視点で巧みに使いこなしています。
テーブルライトはシェードと真鍮のフレームの組み合わせが華やかな「MATIN」ですが、新しく発表されたブラケットタイプは壁面のデコレーションのよう。昼間は空間のアクセサリーそのもので、夜はソフトな間接光を投げかけます。
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「RICE PAPER SHADE」は、日本の提灯を思わせる照明コレクションです。竹ひごのフレームに白無地の紙を張った姿は、昼間は空間をすっきりと見せ、夜はオレンジがかったあたたかい光で室内を照らします。
こうした提灯型の照明器具はデザインが凝ったものも多くありますが、こちらは球形、楕円(ELLIPSE)、縦長(OBLONG)の3種類。いずれも主張しないフォルムのため、空間に対して少し大きいサイズを選ぶほうがバランスがいいようです。リーズナブルなプライスも魅力です。

最近、世界的に注目が高まっているベルギーの2人組、ミュラー・ヴァン・セヴェレンとHAYとの初めてのコラボレーション。そこで実現したのが「ARCS」です。1枚のステンレスの板を折り曲げてつくるシリーズで、日本でも間もなく幅広いアイテムが展開されますが、ペンダントライトは特に象徴的なアイテム。上下から光が差す構造がユニークで、何より空間に浮かぶ様子がチャーミングです。
現代の暮らしのニーズにフィットする、さまざまな明かりのデザインが選べるHAY。実用性が大切なのはもちろんですが、それに加えて昼間の印象を重視すると、コーディネートの楽しさは格段に増すのです。このタイミングで、住空間の中での照明のあり方をちょっと見直してみませんか。
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土田貴宏 ライター/デザインジャーナリスト。
2001年からフリーランスで活動。プロダクトやインテリアはじめさまざまな領域のデザインをテーマとし、
国内外での取材やリサーチを通して雑誌やウェブサイトで原稿を執筆。東京藝術大学などで非常勤講師を務める。
近著「デザインの現在 コンテンポラリーデザイン・インタビューズ」(PRINT & BUILD)。