色で遊ぶスタイリング HAYのある暮らし #3

2021年10月、東京都内で「A Day with HAY」と題した展示会が開催されました。今年発表されたばかりのHAYのプロダクトの数々を紹介しながら、未来への期待を込めたプレゼンテーションは、会場を訪れた多くのデザイン関係者を魅了。誰もが変化に翻弄されがちな昨今ですが、変化も楽しみに変えるようなエネルギーを、HAYのデザインは感じさせてくれます。今回は2つのフロアを使い、ホームユースとワークスペースのそれぞれの世界観を表現して、最新のスタイルを印象づけました。

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最初のフロアの空間構成は、リモートワークが続く今日の私たちにとって、「こんなオフィスなら戻りたい」と思えるギャザリングスペースがテーマ。シンプルなフォルムに、ユニークなカラーリングを用いたミュラー・ヴァン・セヴェレンによるテーブル「TWO-COLOUR」は、今回の新作の中でも特に注目したいものです。また波状のモチーフを用いた「ARCS」シリーズのペンダントライトやフラワーベースも彼らの新作で、形と色を操るセンスが見事に発揮されています。
壁面に並んだ照明「MATIN WALL」はインガ・センペ、ボリューム感のあるソファ「QUILTON」はドーシ・レヴィン、その前に置いたグラストップのテーブル「KOFI」はマーティン・ソレムによる新作。それぞれにワークスペースをコンテンポラリーに彩ります。

もうひとつのフロアは、インテリアスタイリストの竹内優介さんによる、多彩なカラーを取り入れた暮らしの提案です。「当初からグリーンのソファを使いたいと思っていたので、そこがいちばんのポイント。カーテンやラグなど面積の大きいアイテムにも気を配りました。隣の色同士のバランスも配慮しています」と竹内さん。こうした明るい色使いのミクスチャーは、自然と心を元気にしてくれそうです。
また壁際のシェルフ「WOODY」には、レコードプレーヤーやビジュアルブックのほか、スウェーデンのワン&ソダーストロムらによるオブジェや花器がぎっしり。植物を床や棚に置き、天井からも吊るして、にぎやかなオープンシェルフをオーガニックに見せています。

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リモートワークの定着で、家にもワークスペースをもつのが当たり前になりました。ダイニングテーブルで仕事するのに比べると、たとえコンパクトであっても、自由に使える専用のデスクはやはり快適です。このコーナーでは、コンパス型の脚部に特徴のあるオランダのウィム・リートフェルトの「PYRAMID DESK」と、同様のシルエットをもつ「RESULT CHAIR」をコーディネート。どちらも1950年代のデザインで、当時のモダニズムの美意識を伝えています。ドイツのステファン・ディーツによるライトグレーのトロリーもすみずみまで潔いフォルム。こんな家具で基調をつくると、デスクまわりが多少散らかってもストレスを感じません。

ダイニングスペースもHAYらしいカラーがシーンを際立たせました。アナ・クラシュによるクラフト感のある照明「BON BON SHADE」や、フリゾ・クラマー&ウィム・リートフェルトによる「REVOLT CHAIR」は、わずかに抑えた色調がどんな空間にも馴染みます。
一方、オレンジにペイントした鮮やかな壁には、インダストリアルなメタルシェルフ「INDIAN PLATE RACK」を取りつけて、ハイテーブルとバースツールを置きました。普段よりも目線が高くなるぶん、視界が変わって気分転換でき、ちょっとしたコーヒーブレイクにぴったりです。HAYは独特のカラーリングのテーブルウェアも豊富に揃うので、実用的なインテリア・アクセサリーとして活用しましょう。

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清潔感のあるブルーを基調にスタイリングした、広々としたバスルーム。日本のデザイナー、倉本仁のHAYからのデビュー作になったコートハンガー「KNIT」は、スチールパイプを編んだように見えるちょっとユーモラスなアイテムで、グレーの他にブラック、ホワイト、トフィーの計4色が揃います。今回、ワークスペースの提案でも使われていたように、空間ごとに色違いでコーディネートを楽しむこともできます。
バスルームのシェルフやバスケットは、機能を重視した通気性のいいものを選びながら、色のバランスを意識したいプロダクトです。さらに壁際に立てかけた「NEON TUBE」ライトは、生活感が出てしまいがちなコーナーを光でシュールに彩ってくれます。

家で過ごす時間が伸びたため、自宅で植物を育てる人が増えているようです。今回の展示会のテラスでは、ロナン&エルワン・ブルレックによる定番「PALISSADE」をメインに使い、植物のある屋外空間をスタイリングしました。2シーターの椅子やベンチには、シートが横方向に湾曲したタイプが追加され、レイアウトのバリエーションがいっそう豊富に。自然光に映えるカラフルなテキスタイル製品を組み合わせる楽しみもあります。
今回のようにHAYが社外のインテリアスタイリストを起用してプレゼンテーションを行うのは、実は世界初の試みだったといいます。スタイリストの竹内さんにとってHAYは「軽快で自由で編集力にあふれたブランド」。そんなイメージを重視しつつ、多様な色彩を取り入れたこの機会は、リアルな暮らしを楽しむいくつものヒントにあふれていました。それは、創造的に生きるための第一歩に違いありません。

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土田貴宏 ライター/デザインジャーナリスト。
2001年からフリーランスで活動。プロダクトやインテリアはじめさまざまな領域のデザインをテーマとし、
国内外での取材やリサーチを通して雑誌やウェブサイトで原稿を執筆。東京藝術大学などで非常勤講師を務める。
近著「デザインの現在 コンテンポラリーデザイン・インタビューズ」(PRINT & BUILD)。